暑い季節には欠かせないキュウリ。
みずみずしくてシャキッとした食感は、まさに夏の風物詩ですよね。そんなキュウリを自宅で簡単に育てられたら楽しみがまたひとつ増えます。

家庭菜園でも人気のキュウリですが、油断をするとすぐにトラブルを起こしてしまう野菜でもあるのです。
- 水切れ
- 肥料不足
- 実が曲がる
- うどんこ病で葉が白くなる

そこで本記事では、家庭菜園でキュウリをたくさん収穫するためのコツをご紹介。
畑やプランターで美味しいキュウリを収穫するために、植え付けから収穫まで7つのステップに沿って解説していきます。
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キュウリは長い歴史を持つ野菜!
世界一『水分が多い野菜』としてギネスに登録されているキュウリ。
その水分量はなんと約95%以上で「歩く天然ミネラルウォーター」と呼ばれることもあります。
体を冷やしてくれる、夏にぴったりの野菜!
また、キュウリは、「ウリ科」の植物で、メロンやスイカの仲間。
原産地はインド北部のヒマラヤ山麓(さんろく)で、なんと紀元前4000年から栽培されていた記録がある、超ベテランな野菜です。日本に伝わったのは奈良時代ごろ。
当時は「黄瓜(きうり)」と書かれ、完熟すると黄色くなっていたことが名前の由来だそうです。
そんな歴史あるキュウリですが、じつは苗選びや水やり、剪定(せんてい)など、栽培には初心者の方が失敗しやすい意外な落とし穴があります。
これからご紹介するポイントを押さえる事ができれば、初心者の方でもしっかり収穫できるようになると思いますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
家庭菜園でキュウリを育てるときの植え付け時期
キュウリの植え付け時期は、4月下旬から5月上旬ごろが目安です。(中間地の場合)
遅霜の心配がなくなり、昼と夜の気温差も落ち着くこの時期は、苗が根をしっかり張りやすくなり、定植の成功率がぐっと高まります。
特に地温が18~20℃を超えてくると、根の動きが活発になってきます。プランターでも畑とほぼ同じ時期に植え付けることができますが、朝晩の冷え込みが残る地域では、不織布などで保温してあげると安心です。

初心者の方は、タネからではなく苗から育てるのがおすすめだよ!
タネまきは気温管理や水やりに神経を使いますが、苗からならその手間がグッと省けて、初心者の方でも失敗しにくくなります。
初心者向けキュウリの育て方①苗を選ぶ
良い苗を選ぶには、ポイントがあります。
まず1つ目に、本葉が3枚~4枚ついている適度なサイズのもの。大きすぎず、小さすぎず、定植にちょうど適した成長段階のサイズとなります。
2つ目は、茎が太くてしっかりしていて、節(ふし)と節(ふし)の間が詰まっているものがおすすめです。
徒長して間延びしている苗はこれまでの生育環境が悪かった可能性があります。
そして3つ目に、双葉がしっかり残っていること。双葉がない苗は、育苗中にストレスを受けた可能性があります。
そして最後に、葉っぱの色にも注目してください。濃い緑色でツヤがあるものが理想で、葉っぱの色が薄かったり、斑点がある場合は、栄養不足や病気にかかっている可能性がありますので注意してください。

葉っぱの裏に虫や虫の卵がついていることがあるから気をつけて!
ホームセンターなどで販売されている「接ぎ木苗」は連作障害に強く、病気にもかかりにくいため、初心者の方にはとてもおすすめです。
価格が高めでも失敗しにくいものを選びたい方は、接ぎ木の苗を選ぶとよいでしょう。
初心者向けキュウリの育て方②植え付け準備
畝を立てる
キュウリを畑で育てる場合は、まず「畝(うね)」をしっかり立てるところから始めます。
畝の幅は60cm以上、高さは10~15cm程度が目安
キュウリは根が広く浅く張る植物ですので、土の表面が乾燥しすぎるとすぐに元気がなくなってしまいます。
そのため、畝はやや高めにして、水はけと保水のバランスがとれた環境づくりが最適です。
土はよく耕しておき、腐葉土や完熟たい肥をしっかり混ぜ込んでおくと、ふかふかで根が張りやすくなりますよ。
植え付けの1週間前までに、元肥(もとごえ)として肥料を施しておくと、初期成育がスムーズになるよ!
プランターで育てる場合
プランターで育てる場合は、深さ30cm以上、幅60cm以上の大型サイズのプランターを使用しましょう。
キュウリの根は想像以上に広がるので、プランターが小さいと根詰まりを起こして育ちにくくなってしまいます。
プランターの底に排水ネットが敷いていない場合は、軽石や鉢底石を敷いて排水性を確保しましょう。
水はけが悪いと根腐れの原因になりますので土は、市販の野菜用培養土を使うのがおすすめです。
初心者向けキュウリの育て方③植え付け
植え付けのポイント
畑の場合は株と株の間を40~50cmほどあけて、ゆったりとした間隔で植え付けます。
根が横に広がるため、スペースをしっかりと確保することで、風通しや日当たりも良くなり、病気の予防にもつながりますよ。
プランターで育てる場合も同様で、幅60cm以上のプランターなら1~2株までが目安です。
狭いプランターに無理やり複数本植えてしまうと、根詰まりや生育不良の原因になってしまうよ!
支柱立てとネットを設置する
キュウリはツル性の植物で、上へ伸びるための支えをしっかり準備してあげることが、大きなポイントになります。
植え付け後、3日~1週間ほどの間に、支柱・長さが150cm ~180cmの物と誘引ネットを設置します。

プランターの場合は、奥側と手前側に支柱を斜めに立てて、ネットを支柱に固定するスタイルがおすすめです。
この方法なら省スペースでも安定感があり、ツルも自然にネットへ絡んでいってくれます。
ネットは100円ショップなどでも簡単に手に入る「誘引ネット」でも大丈夫!
畑で育てる場合は、斜めに立てた支柱を互い違いに組み、列ごとにネットを張る“合掌(がっしょう)仕立て”と呼ばれる方法が一般的です。
これは支柱の先端同士を交差させて三角形を作るように立てるため、風に強く、全体の通気性も良くなります。
ここでポイントなのが、「ツルが伸び始める前に必ず支柱やネットの設置を済ませておく」ということです。
あとから支柱を立てようと遅くなってしまうと、苗が真っすぐ伸びられなかったり、茎が折れてしまう事もあります。

初心者向けキュウリの育て方④水やり
キュウリは、野菜の中でもとくに水分を必要とする作物です。
実際、キュウリの約95%は水分でできていると言われており、水切れにはとても弱く、乾燥するとすぐに元気がなくなってしまいます。
畑で育てている場合でも、晴れの日が続いたときや、気温が高い日には朝にしっかりと水やりをしてあげるのがおすすめです。

特に苗を植え付けてから2週間くらいは根の定着期間になりますので、水切れをしないように注意してください!
また、真夏になると地面の温度が上がりやすくなります。
そんなときはワラや黒マルチを株元に敷いて、乾燥と地温の上がりすぎを防ぎましょう。
プランターで育てている方は、畑よりも土の量が少ないため乾きやすく、さらに注意が必要です。
夏場の気温が上がる時期は、朝と夕方の2回。水やりをしてあげると元気に育ってくれます。
特に実がつきはじめる頃は、キュウリが水を一気に吸い上げるため、水切れ=実の曲がりや苦味の原因にもなりますので注意してください。

初心者向けキュウリの育て方⑤わき芽かきと摘心
キュウリの背丈が1メートルほどに成長してきた頃に、摘芯(てきしん)とわき芽かきを行っていきます。
わき芽かき
親づるの下のほうに出てくるわき芽や花を摘み取ります。苗がまだ小さいうちに実を付けすぎてしまうと、株が体力を消耗してしまい、今後の成長や実つきが悪くなってしまうのです。
最初に出るわき芽や花は、もったいなく感じても思い切って取り除いてあげることがポイント。
下から数えて5枚目までの葉っぱの付け根から生えてきているわき芽は、すべて摘み取る。
摘心
キュウリは、主(しゅ)となる枝の事を「親づる」と言い、そこから生えてきたわき芽の事を「子づる」と呼びます。
この親づるから生えてきた、5枚目の葉っぱより上に生えてきた子づるは、成長してきた段階で、葉っぱを2枚残して先端をカットしてしまいましょう。
この作業の事を「子づるの摘心」と呼びます。これをしてあげる事で、枝がコンパクトにまとまり、風通しや日当たりが良くなり、病害虫の予防にもつながります。
親づるの成長を止める
親づるが高く伸びていき、ネットや支柱の先端まで伸びてきたら、親づるの先端をカットし、親づるの成長を止めてしまいます。
これをすることで、栄養分を実(み)の成長に充てる事ができ、美味しいキュウリを収穫できるようになります。
初心者向けキュウリの育て方⑥追肥
キュウリの実がつきはじめると、株はたくさんの栄養を必要としてきます。そこで欠かせないのが追肥です。
最初の実が10cm前後に育ってきたころが、最初の追肥のタイミングです。
この時期を逃さず、しっかりと栄養を補ってあげることで、株の勢いを落とさず、長く収穫を続けることができますよ。
追肥の量は、1株あたり約30g(軽くひと握り)を目安に、その後は、2週間に1度のペースで追肥を続けてあげると、長く収穫を楽しむことができます。

また、株元に直接かけてしまうと根を傷めてしまう事がありますので、プランターや畝のフチに沿って、円を描くようにまいてあげると上手に行きます。
初心者向けキュウリの育て方⑦収穫
最初の5本目くらいは、やや小さめで早めに収穫しましょう。
株がまだ小さいうちに大きな実を付けてしまうと、株が早くに疲れてしまい、その後の実つきが悪くなってしまいます。
最初の実を大きくせずに収穫してあげることで、株が「まだまだ実をつけるぞ!」と元気を保ってくれます。
まとめ
今回は、キュウリの植え付けから収穫までを、初心者の方でも失敗しない方法として解説してきました。
キュウリはとても身近な野菜ですが、意外と水やりや肥料のタイミング、支柱の立て方など、ひとつひとつにポイントがある野菜でもあります。
ですが、逆に言えばそのポイントさえ押さえれば、初心者の方でもしっかり収穫を楽しめる野菜でもあります。そしてなにより、キュウリはお世話をしてあげた分だけ、それにちゃんと応えてくれる野菜です。
ご紹介したポイントをおさえて、家庭菜園でのキュウリ栽培を楽しみましょう!
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